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覚えておきたい言葉(引用):
日本の電力問題についての議論に関して、私が常々感じている疑問は、供給の話に終止していて、需要について論じられていないという点です。
日本の電力需要は戦後、一貫して右肩上がりに上昇を続けてきました。
今後の電力需給について論じる際も、多くの論者はそのトレンドが将来的にも続き、電力需要が伸び続けることを、当然の前提にしているようです。
(中略)
2011年の時点で、既に日本では毎年およそ20万人、人口が純減しています。ただし海外からの流入もあるため、今のところそのトレンドは明確なものとはなっていません。
しかし、2015年からは、人口減少率は倍化し、毎年およそ40万人が減っていくことになります。ちょっとした地方都市が毎年1つずつ消滅していく計算で、ここまで来ると人口減少の影響がはっきり実感されてくるでしょう。
減少数は2030年頃からはさらに倍化し、1年間に80万人ずつ屁っていくことになります。21世紀半ばの2050年には日本の総人口は9500万人強となり、1億人を大きく下回ってきます。この数字は今から出生率が多少、上下しても、大きく変わることはありません。
2050年の日本の人口は、2005年の人口、1億2800万人と比べると、28%も少ないのです。
言い換えれば2050年の電力需要は、私たち日本人1人1人が今と同じ量の電気を使うとしたら、現在の電力需要の4分の3にまで減るはずなのです。
2009年に当時の鳩山由紀夫首相は、「2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減する」と表明しましたが、その程度の排出削減は、今のトレンドのまま日本の人口減少が続けば、達成時期は少々ずれるにしても、何もしなくても達成できてしまうことになります。
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年率1%の(電力)節約は、家庭用電気製品のエネルギー効率の向上を考えれば、さほどの努力なしに達成できるはずの数値です。これに毎年の人口減少の影響を加味すれば、電力消費量は20年ほどで1990年レベルまで下がってきます。90年代に増えすぎてしまった1人あたりの電力消費量を1990年以前の水準に戻すことができれば、それだけで電力需給はかなり楽になります。
同じ程度の節電を続けると、40年ほどで日本の電力消費量は1990年の8割程度にまで下がってきます。
日本ではこれまで、電力供給の3分の1弱を原発から得ていましたが、もし年率1%の節約ができれば、今から30年ほどで原発からの電力供給は必要なくなることになります。
しかも、これらは年率1%という、比較的「ゆるめ」の設定で計算されたものであり、日本人が意識して「きつめ」の節電と省エネを行えれば、もっと速いペースで電力消費量は落ちていくでしょう。
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節電をより確実なものにするには、今の生活習慣を見直していくことが有効でしょう。
たとえばドイツやフランスのサラリーマンの多くは30日から40日程度の夏休みをとります。それに対して、日本の公務員は有給休暇を除けば3日間だけで、お盆に一斉に休みをとる形です。こうした社会的な習慣がピーク時とそれ以外の電力消費の差を大きくしています。
これを政府主導でよりピーク分散型に変えていくことで、ピーク時の消費電力を平準化することは、十分可能です。
ヨーロッパの先進国のように、毎年、夏の暑い時期はバカンス(長期休暇)をとって都会から地方に脱出し、そこでゆったり過ごす習慣が定着すれば、電力のピークも下がるし、地方にお金が落ちるようになって、それぞれの地域も活性化するはずです。
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2011年現在、原子力発電の技術を持つ国は脱原発を決めて全ての原発の運転を停止したイタリア、EUとの合意で現在停止中のリトアニアを除いて29か国となります。
日本で喧伝されているように、原発が本当にコストの安いエネルギー源であるなら、もっと急速に世界中に広がってもよさそうなものです。しかし現状では、フランスなど一部の例外を除いて発電量の半分以上を原発が占めている国は少数であり、既にご紹介したように、世界的に見れば発電のエネルギー源の主流は今も石炭火力なのです。
このことは原発の発電コストが、燃料費用については確かに安いとしても、事故の危険性や使用済み燃料の処分、安全対策費などさまざまな要因を含めれば、トータルコストでは石炭火力にかなわないことを示唆しています。
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自然エネルギーの多くがそうであるように、太陽光発電も天候や時刻により出力が刻々と変化する特性があるため、実際には電源構成のうちの一定割合以上を太陽光発電としてしまうと、電力の安定供給に問題が出てしまうのです。
このような観点から導入可能な発電量は、総発電量の10〜20%が限度ではないかと言われています。つまり、いくら設置場所があったとしても、総発電量の29%を占めていた原発の代わりを全て太陽光で賄うことはできない、ということです。
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一般会計が火の車で、大半の特会予算も事業仕分けなどで見直される中でも、エネルギー特会だけは別格扱いで、2011年予算でもエネルギー需給勘定が2兆587億円、電源開発促進勘定が3286億円、合計で2兆3873億円と、前年比で増額を確保しています。
(中略)
経済産業省や環境省など中央官庁の官僚たちが、バイオマスがダメなら太陽光発電と、次々にテーマを変えながら税金の無駄遣いを続けることが可能なのも、エネルギー特会という特別枠の財布があって、きちんとしたチェックもなしに予算がつくからです。
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今は法律により、家庭に設置された太陽光発電装置で作られた電気のうち、家庭で使い切れなかった分については、電力会社が買い取ることが義務づけられています。その価格は2010年には1kwhあたり48円で、2011年には同42円と、一般的な電力価格に比べて非常に高いものとなっています。
日本の電力会社の場合、平均して1kwhあたり7円程度で生産された電気を、22円程度で一般家庭に販売しています。
自然エネルギーによるコストの高い電気を、経済性を無視した高価格で電力会社に買い取らせるこうした制度は、経済合理性という観点からゆがんだものといえます。
富裕層はこうした制度を利用して、自宅の電気代を節約し、また売電によって収入を得て、設置のための初期投資を10年程度で償却することができます。その後は発電すればしただけ、所有者の儲けになるわけです。
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太陽光発電が規模のメリットでコストが安くなるのであれば、日本より条件のよいアメリカやオーストラリアでとっくに普及していたでしょう。バイオマスについて言うなら、日本よりはるかに条件に恵まれたアメリカでさえ採算が合わないのですから、日本でいくら研究しても、既存のエネルギー並みのコストになる可能性は全くありません。
感想など:原発、自然エネルギー派双方が優位を主張していますが、どっちもどっちでよくわからんな、と思っていたので、非常に勉強になった。何より、これから人口が減っていくので、節約を忘れなければ原発分のエネルギーはいつか不要になるよという説は面白かった。また、自然エネルギーを伸ばせば脱原発できるという考え方も甘いという理屈も明快でした。
とりあえず、将来的な脱原発を目指して年1%ずつ節電して、夏の電力ピークを避けるべく長期休暇の文化をつくってサマータイムも導入して、それでも足りなければ石油より安価な石炭火力をもっと使えばいいんじゃないという結論に至りました。これまでいくつか読んだエネルギー本の中で最も良質。
