ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆
覚えておきたい言葉:
ユダヤは、もはやユダヤとは呼ばれず、パレスティーナが公式の名称になった。
イェルサレムもその名は消され、アエリア・カピトリーナに変わる。イェルサレムの市内の再建も、ローマ式の都市計画に沿ってなされることになった。微笑を禁じえないのは、現代のイェルサレムの市街の基本ラインが、ユダヤ民族にとっては最大の敵になるハドリアヌス帝による都市づくりがそのままで残っていることである。ローマ人の手になる都市の中央通りは、北から南へ貫通するものでなければならない。現代のイェルサレムのダマスカス門からはじまる中央通りも、まったくそのように通っている。これ以外にもハドリアヌスの「手」が遺っているが、ユダヤ教徒にとっては聖都でありつづけるイェルサレムの現在の姿が、ユダヤ教徒の反乱を根絶するのに誰よりも過激な方策で対した男のプランによる事実は、歴史の皮肉とするしかないのである。
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「感情を抑制するのに、賢者の哲学も皇帝の権力も何の役にも立たないときがある。そのようなときには、男であることを思い起こして耐えるしかない」(アントニヌス・ピウス)
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いかに完璧につくられた組織でも、時が経てば老化し、時代に適合しなくなるのは避けられない。それゆえに、改革の名で呼ばれる、機能維持ないし向上を目的にした対処が必要になってくる。この巻で取りあげた皇帝たちにかぎれば、ダキアを征服することでドナウ河防衛線の強化に成功したトライアヌスと、帝国全域を視察することで帝国の再構築を行ったハドリアヌスが、「改革」を担った人であった。この2人の後を継いだアントニヌスの責務は、「改革」ではなく、改革されたものの「定着」にあったのだ。
感想など:ようやく「賢帝」シリーズが終わり。平和な時期だった。次のシリーズから、ローマの衰退が徐々に始まるのかな。けっこう読み進めたシリーズですが、これは絶対に文庫で読んだ方がいいですね。ハードカバーだと何度も挫折したけど、ここまで来れた。パッケージの違いが読書に及ぼす影響を感じる秋。
