『磯野家のマイホーム戦略』

ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆☆☆☆
覚えておきたい言葉(引用):
 20年後、東京や大阪、名古屋都心部の住宅の値段は大まかにいって今の半分程度になっているはずです。
 借りる場合の賃料も半分以下です。理由はこの後詳しく述べますが、簡単にいえば「需要と供給の関係」からそうならざるを得ないのです。
(中略)
 ただ、日本全国一律に半額以下、と言うことではありません。例えば、都心の超一等地にあるようなマンションは、20年後にも半額までは下がっていないと思います。しかし、2割や3割の減価は免れないでしょう。
 逆に、大都市の郊外や中核都市の周縁エリアに広がっている住宅地では、半額以下まで下がっているでしょう。場合によっては今の価格の5分の1くらいまで落ちている可能性さえあります。
 さらに、現在でも衰退している地方都市の郊外は、かなり悲惨なことになっていそうです。
(中略)
 20年後の空き家率は全国平均で約25%だと予想されます。人口20万人規模の地方都市だと、空き家率はおそらく40%から50%が普通になっている可能性があります。つまり、そこらじゅう人が住まなくなった「空き家」の「売り家」だらけなのです。
 そんな市場環境の中では、多くの売り主の中から必ず「いくらでもいいからお金に換わればいい」という考えの方が何%か出てきます。いわば「投げ売り」。
 そういった取引が多発すると、市場価格は加速度的に下落していきます。結果、現在の1割くらいまで市場価値が下がることは十分にあり得るのです。

 20年後、カツオ君が東京都港区青山で新婚生活を始める新居を探した場合、市場環境は今よりも需要が15%減り、供給が15%増えた状態になっていると私は推測します。したがって、月額賃料が今の貨幣価値に換算して40万円という水準はあり得ません。
 では、いったいいくらになるのでしょう。単純に需要が15%減り、供給が15%増えた場合、経済学の法則にのっとれば価格は半分以下に下落してもおかしくありません。

 みなさんも新築マンションの広告で「3LDKが3980万円より」のような表示をご覧になったことがあると思います。あの「3980万円」の内訳がどのようになっているかということです。
 まず、その中で最も大きいのは建築費です。これは地域によっては多少違いますが、1戸あたり1500〜1700万円くらいがひとつの目安です。もちろん、設計の内容や住戸内の設備・仕様、共用部分の造り方などによって大きく異なります。(中略)
 次に土地代。この場合だと790万円くらいです。
 建築費と土地代を合わせて2390万円。販売価格の全体の6割です。残り4割から、設計料(約45万円)、販売手数料(約200万円)、広告費(約100万円)、用地仕入れ手数料(約30万円)、モデルルーム費用(約100万円)、近隣対策費(?)、その他の費用を除いたのがデベロッパーの利益。だいたい15〜25%くらいです。
 ただ、マンション業者によっては最終の利益率を40%以上に設定している場合もあります。

 私は「無理をせずに、住みたい場所に住宅が買える」レベルまで価格が下がってきたら新築でも中古でも買っていいと思います。ただ、この場合「無理をせずに」というところが問題ですね。
 では、どれくらいが「無理をせずに」というレベルなのでしょう。
 一概にはいえませんが、私は「年収の3倍」あたりがひとつの目安だと思っています。
 そう書くと「なぜ3倍なのだ」と疑問に思われるでしょうね。
 その理由は、今の住宅ローン金利(2%程度)の場合、年収の3倍くらいの住宅ローンなら10年から15年で返済できるからです。

 10年という中期サイクルで考えた場合、買った方が借りるよりも「お得」になりそうなひとつの目安は、月額家賃の100倍よりも安い場合です。(中略)
 例えば、「借りたら月額7万円だけれども買うと650万円」といった場合です。そういう場合は、ここで紹介したタラオ君のように買ってしまった方が「お得」になるケースがほとんどだとお考えください。

感想など:たまたま併読していた『電力危機をあおってはいけない』もそうですが、これから加速する日本の人口減少が暮らしにどう影響するか考えさせられた。個人的には日本は国土に対する人口が多すぎるので、人口減少に伴い35年とか長期ローンを組まないでも不動産が手に入れられて、エネルギーも過剰に必要としない国になればいいと思う。あんまり1人あたりのGDPが減っては困るけど、それが成熟社会のような気がする。よい本だった。

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