ステータス:読了(ちょっと飛ばし読み)
評価(最高が5つ星):☆☆☆
覚えておきたい一文:
本書の核となるのは失敗の物語である。それは世界を屈服させ、資本主義の本質に疑問を投げかけた失敗だった。ここにくわしく描き出される個人は献身的で、幾度も途方に暮れる。多くは偉大な自己犠牲の精神から、しかし同じくらい多くは保身のために、世界と自分をこれ以上の災害から守ろうと懸命に努力した。本書の登場人物全員が、ほんの小さな譲歩から莫大な献身まで、程度の差こそあれ己の利益を顧みず、強力し合って最悪の事態を防いだと言えればどんなにいいだろう。ある場面ではそういうこともあった。しかし、読めばわかるとおり、彼らは決断を下す際に、苛烈な競争と権力争い—ウォール街とワシントンに長らく定着した文化—から完全には逃れられなかった。
つまるところ、これは人間のドラマであり、自分たちは大きすぎてつぶせない(トウ・ビッグ・トウ・フェイル)と信じていた人々のあやまちの物語である。
金融危機は避けられたのだろうか。これは1.1兆ドルに値する疑問—これまでの救済措置の値段—である。
その疑問への答えは”おそらく”だ。しかし、先制の一撃は、2006年春にヘンリー・ポールソンが財務長官の宣誓をおこなうはるかまえにあったろう。大惨事の種は、次のような方法で何年もまえに植えられていた。たとえば、1990年代後半の銀行に対する規制緩和、住宅ローン基準の緩和につながった持ち家奨励策、流動性バブルを生んだ歴史的低金利、短期的なリスク負担を評価するウォール街の報酬システム。それらが一体となって、この破滅的な事態を作り出したのだ。
ひとことコメント:
巨大銀行や証券会社、財務省、FRBのトップがどんな人なのかをつかむには最適な書かと。ただ、いかんせん、登場人物が多いのでなかなか読み進めにくい面も。
ちょっと感じたのは、金融エリートたちの出自が一部をのぞいて意外と貧しい家庭や一般家庭なんだなぁということ。多くが富裕層の子息だと思っていたので。そういう意味では、必死に階段を駆け上がった人たちの、悲しい転落の物語だと読めなくもない。
