ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆☆☆
覚えておきたい言葉(引用):
時間の細切れ化が進むと、どういう問題があるのか? 今後ますます仕事の負担が重くなり、時間に追われるようになると、どのような影響が生じるのか?
あまりに多忙な日々を送るようになると、一つのものごとに集中して取り組むことが難しくなり、じっくり観察して学習する能力がそこなわれる。また、仕事の世界に気まぐれや遊びの要素が入り込む余地も奪われてしまう。
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専門技術を磨ければ、ジルは仕事でもう一つ上の段階に上がれるだろう。本書で強調するように、将来はそうやって高いレベルの専門技能を身につけることが成功するための必須条件になる。ジルが自分の仕事をきちんとこなしていることは間違いないが、問題は、飛び抜けて有能というレベルに達していないことだ。ジルが高度な専門技能を身につけられない理由は、煎じ詰めれば、3分刻みの世界で生きていることにある。なんらかの専門技能を磨くためには時間と集中が必要だが、慌ただしく時間に追われる日々を送っているジルには、この両方が欠けているのだ。
時間と集中の重要性は、高度な専門技能を習得した人々を調べた心理学者ダニエル・レヴィティンの研究によって裏づけられている。レヴィティンが「作曲家、バスケットボール選手、小説家、アイススケーター……そして犯罪の達人たち」を調査したところ、専門分野こそ違っても、すべての人に共通する性質が一つ見いだせた。その共通点とは、技能を磨くために長期間集中して打ち込むことが苦にならないことだった。では、どれくらいの時間をつぎ込めば、技能を自分のものにできるのか。レヴィティンの研究によれば、おおむね、10000時間を費やせるかどうかが試金石だとわかった。1日に3時間割くとしても、10年はかかる。
ジルはコンサートピアニストやベストセラー作家を目指すわけではないだろうから、10000時間は大げさかもしれない。それでも、仕事の世界で本当に価値のある人材になろうと思えば、ある程度の専門技能を身につけなくてはならない。しかしジルは、3時間はおろか3分間ですら、一つのものごとに集中して取り組むことが難しいのだ。
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高度な専門技能を身につけることは、未来に幸せを手にするために避けて通れない<第一のシフト>の核をなす要素だ。しかし、ジルは時間に追われるあまり、価値ある技能や能力に磨きをかける機会をなくしている。専門家レベルまで技能を向上させようにも時間がなく、ほかの人たちの仕事ぶりを注意深く観察できないので、微妙な暗黙知を学び取れない。こういう世界で成功するためには、どういうふうに時間を使い、エネルギーと資源を割り振るかという選択がきわめて大きな意味をもつ。ゆでガエルにならないために、専門技能を身につけるという<シフト>を選択する必要があるのだ。
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専門性の低いゼネラリスト的なマネジメント技能は、特定の企業以外で通用しない場合が多い。しかも専門性の低い技能は、ウィキペディアやグーグル・アナリティクスのようなオンラインサービスによって急速に取って代わられつつある。終身雇用や長期雇用が揺らいだ世界では、こういうタイプの技能しかもっていないと、袋小路にはまり込みかねない。
要するに、未来の世界で成功を収めたければ、高度な専門技能と知識を身につけるべきなのだ。そのためには、まず未来にどういう技能と知識が価値をもつかを見極める必要がある。そのうえ、リスクを回避するために、複数の専門分野に習熟しなくてはならない。ひとことで言えば、連続スペシャリストになることが不可欠なのである。
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ほかの専門技能より高い価値をもつ技能は、以下の3つの条件を満たしている。第一は、その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること。第二は、その技能の持ち主が少なく、技能に対する需要が供給を上回っていること。第三は、その技能がほかの人に模倣されにくく、機械によっても代用されにくいことである。
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ハーバード大学医学大学院の研究チームは、何千人もの人たちを対象に、健康と幸福に関する長期の追跡調査を実施した。それによると、最も幸福感が高いのは、最も裕福な人たちでもなければ、最も大きな業績を成し遂げた人たちでもなかった。幸福感の高さと最も強い関連性が一貫して認められた要素は、親しい友達がどの程度いるのかという点だった。
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ひとことで言えば、ポッセ(頼りになる同志)を引きつけるには、まず自分が積極的に「発信」しなくてはならない。その際、自分がなにを成し遂げたかだけでなく、どういう難題にぶつかっているかを語ることが重要だ。あなたがなにに関心があり、どういう課題を抱えているかを語ってはじめて、ほかの人たちは、どうすればあなたと共同行動が取れるかがわかる。
感想など:話題になっている本なので読んでみました。未来に対する予測については、「?」という部分が多かったが、主題であるこれからの働き方の部分は面白かった。とりわけ専門技能の習得がいかに大切で、そのためには時間と集中が必要であることが改めて認識できた。24時間オンライン状態を強いられ、集中力をそぐことこのうえないネットとどう付き合っていくか考えさせられた。
