『勝手にふるえてろ』


ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆☆☆
覚えておきたい一文:

「せめてジムとか行こう。25過ぎたら筋肉が衰えてくるから、30になるまえにある程度鍛えておいた方が身体のためだ」
 だめ出しされたうえかつアドバイスをされると、頼んでもいないのに目の前でシルクハットから鳩を出された気分になる。で、この鳩は私が育てなきゃならないの?
「じゃ、あんまり疲れないんだね、鍛えてるから」
「いや、疲れるのは身体動かすときじゃなくて頭使うときかな。このまえのプロジェクトとか動く金が億単位だったから神経使ったー。あのときはさすがに疲れた、おれが担当だったから」
「まだ若いのにそんな大きなプロジェクト任せられるなんて、優秀なんだね」
「ちがうよ、優秀だからじゃない。労力が必要で責任も大きいプロジェクトだから上が嫌がって、よく働くイキのいい若手に押しつけただけ。でも今回うまく行ったから社内でおれの評価は上がるかもしれないな。そしたらラッキーだけど。にしても帰ったら玄関で倒れてそのまま朝まで眠るほど疲れてたな、あのころ。やりきったって感じ」
 望みどおりの相槌を返してあげたのに即座に打ち消してくる人、あと企画のことをかっこつけてプロジェクトと呼ぶ人は私は嫌いです。

でも女の世界というのは複雑で、私も手伝うと言ってあとから立ち上がっても、自分が輝けるかつ手持ちぶさたにならない役割を取られたくない女の子たちは笑顔で、いいよ座ってて〜と言うだけで決して自分のポジションを譲ろうとはしない。食事の支度ぐらい私だってできる、いましてないだけ、だからしゃもじをぬらすこともせずご飯粒をべたべたつけて茶碗によそっている平田を好きにならないで、おねがいだから。

ひとことコメント:
まぁ、なんというかこの人と青山七恵さんの本はなんだかんだ言って全部読んでいるな。文体が好きなのだろう。森見登美彦氏といい、こういう漫才みたいな書き方が増えてきたな。まぁ、おもしろいからいいけど。世の中の小説がカフカみたいなものばかりだったら、それはそれで困るもんね。

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