『福島原発メルトダウン』


ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆☆☆
覚えておきたい言葉:

 福島第一原発事故に続いて第二、第三の原発震災の危機を警告すると、「パニックを起こすつもりか」と言われるかもしれません。しかしパニックというのは、人々が本当のことを知らされていないから起こるものです。

結局、ウランを燃やして(核分裂させて)つくられた熱エネルギーの3分の1だけを電気にして、3分の2を「温排水」として海に捨てるという不細工な機械装置が原子炉なのです。勿論、その膨大な温排水によって海水の温度は上がり、沿岸の生物に甚大な影響を与えているのですが、こんな機械装置が「地球温暖化防止の切り札」などと、もてはやされてきました。そうした虚言を弄ぶ人間たちが、私には不思議でなりません。

広島に落とされた原子爆弾(原爆)で燃えたウランの量は、約800グラムでした。現在、日本列島にある54基の原発では、平均すると1基が約100万キロワットを発電します。100万キロワットの原発が1日稼働するとウランを約3キロ燃やします。原発1基だけで広島原爆の3〜4発分のウランを毎日、燃やしている計算になります。

福島第一原発は高さ14メートル以上の津波に襲われましたが、東京電力が対策を講じていた津波の高さはたった5.5メートルです。「想定外だ」という嘘はやめなさい。今回の津波で最大の高さは、4月中旬までのところ、東京海洋大学の岡安章夫教授の調査によれば、岩手県宮古市の重茂半島で、陸上を駆け上がった遡上高さが38.9メートルにまで達していたとされています。今後も調査が進めば、これより高い記録が出るかも知れません。しかし日本のプレート境界型地震では、今回規模の津波がたぶたび起こっています。1896年、推定マグニチュード8.5の明治三陸地震では、岩手県沿岸の綾里で38.2メートル、吉浜でも24.4メートルの津波を記録しています。また1933年の昭和三陸地震では28.8メートル、さらに1993年の北海道南西沖地震でも遡上高30メートルを超える津波が奥尻島を襲ったのに、「想定外だ」という言い訳が通りますか。

プルトニウムを混合させたMOX燃料は、従来のウラン燃料よりも大量の放射能を出します。もし、私たちが猛毒のプルトニウムをわずか何粒かでも呼吸で体内に取り込んでしまうと、それが長期にわたって体内にとどまってしまい、強烈な放射線(アルファ線)を浴び続けることになるのです。

マグニチュードは、その数字が0.2大きくなるとエネルギーは約2倍になりますので、1大きくなると2倍の5乗(2×2×2×2×2)で32倍になります。(中略)阪神大震災を引き起こした兵庫県南部地震は、マグニチュード7.3でした。東北地方三陸沖地震は兵庫県南部地震の355倍のエネルギー、という計算になります。

揺れの強さを正確に表わす単位に「ガル」があります。ガリレオにちなんで名づけられた加速度の単位で、1ガルとは、1グラムの物体に作用して、1秒間に動く速度が1センチメートルずつ加速することを示します。

 放射性物質が出す放射線は、それぞれ異なる性質を持っています。「透過能力」が違うのです。
 アルファ線は透過性が低く、紙一枚で止められます。ベータ線は、紙は通り抜けますが、金属で止められます。ガンマ線は病院で使うX線(レントゲン)と同じもので、普通の金属を通り抜けます。コンクリートや鉛の壁で止められますが、セシウム137やコバルト60などの放射性物質から発生するガンマ線は透過性が高く、特に癌の放射線治療に使われるコバルトは人体の深部まで透過するので非常に危険です。レントゲン写真でも、妊婦は避けるようにしなければならないのは、それが危険だからです。
 もっと危険なのは中性子線で、これは電気的抵抗を受けません。ですから、ほとんどの物質の内部を透過してしまいます。このような性質を悪用して、建物を破壊せずに生物だけを死滅させる中性子爆弾の開発が進められた時代もありました。

(前略)シーベルトとは放射線が人体に与える影響の単位で、「1シーベルト=1000ミリシーベルト=100万マイクロシーベルト」です。国際放射線防護委員会(ICRP)は一般の人の年間被曝量の上限を「1ミリシーベルトまで」と勧告しています。さきほどの枝野長官の数値は、その400倍を1時間で浴びてしまう量です。
 また、枝野長官の数値は単位時間あたりの被曝量で、その一方、ICRPの数値は年間の被曝量ですから、それと比較できません。そこで「1時間あたり400ミリシーベルト」を年間に直すと、365日×24時間の8760を掛けて、なんと年間許容量の約350万倍という途方もない危険性になります。

(前略)大人の摂取制限は水1リットルあたり300ベクレル、乳児は100ベクレルなので、東京都は金町浄水場の水を利用している地域で、乳児には水を飲ませないように呼びかけました。
 このときに私が驚いたのは、乳児の摂取限度が大人の3分の1だということです。(中略)放射能の危険性に敏感なヨーロッパやアメリカでは、「乳児の基準は大人の10分の1」というのが医学常識になっているからです。しかもこの暫定基準では、野菜類の放射性ヨウ素131の摂取制限量は、1キログラム当たり2000ベクレルとなっているので、さらに驚きました。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)によって設置されたCODEX(コーデックス)委員会のガイドラインでは、100ベクレルです。

 青森県六ヶ所村にある核燃料サイクル施設「六ヶ所再処理工場」。
 1998年から2010年まで13年にわたり、ここへ全国54基から出た使用済み核燃料が運び込まれ、すでに2827トン(ウラン換算重量)というとてつもない量になっているのです。もしこの工場が、福島第一原発と同じように電源喪失したり、核燃料の貯蔵プールを損壊させたり、工場そのものが爆発させたりしていたら……原子炉を100基まとめてドーンと爆発させたような想像を絶する大惨事になっていたでしょう。日本列島が、いや世界が終わっていたにちがいありません。
(中略)
 結局、全国の原発から運び込まれた使用済み核燃料は、ほとんど再処理されないまま、六ヶ所村の貯蔵プールをほぼ満杯にしています。貯蔵プールの容量は3000トンありますが、もうすでに2827トン入っているわけですから、残り173トンしか余裕がありません。
 全国の原子炉で発生する使用済み核燃料は1年間で900〜1000トンです。そのため、いま原発から出ている使用済み核燃料は、六ヶ所村に運べず、全国の原発の敷地内にたまり続けて、ますます危険な状態が続いています。要するに、毎年毎年、原発を運転するたびに発生する「核のゴミ」を捨てる場所がどこにもなく、仕方なく自分のところで保管している状況なのです。

感想など:脱原発、反原発の急先鋒の人であることを念頭に読まなければならないと思いますが、現在の日本の原発や原子力政策の危うさがつかめる内容になっています。原発事故以来、ネット中心にあれこれ情報を見てきて、「経済性の観点から原発をやめるのは馬鹿だ」という意見にそうなのかなぁとも少し思っていましたが、やはり何百年に一度であろうと今回のような事故が起きると周辺に住めなくなり、長く健康被害に脅かされ、日本の安全神話そのものを揺るがされることは割に合わないと思う。天気予報に続いて、各地の放射線量が伝えられる状況はやっぱりおかしい。原発推進派の本も合わせて読んで、今後も考えていくことにする。

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