7時に羽田を発って、10時に現地着。時差は-1時間。まだ街が動き出してないので、美術館へ。
けど、切符を買ってロッカーに荷物を入れているわずか30秒くらいで切符をなくす。下の写真は「アレ、アレ」と挙動不審になって切符を探している姿をみかねて、スタッフの人が押してくれた通行ハンコ。助かったけど、情けなくなる(なんで30秒で…)。そういえば、昔、村上春樹さんがよく電車の切符を無くすので、折り畳んで耳に入れていたという話を『村上朝日堂』でされていたが、あの対策を僕も真剣に行おうかと自らの手に押されしハンコをじっと眺めながら思うのであった。以下、『村上朝日堂』より(このシリーズはホントに好き)。
それはともかく、大の男が改札のわきで洋服のポケットを全部ひっくりかえしているのは、あまり見られた光景ではない。正直言って恥ずかしい。とくに棚の上にポケットの中のものを「これが財布でしょ……手帳でしょ……ティッシュ・ペーパーでしょ……」なんて並べながら点検しているところなんか悲惨としか言いようがない。
それから女の子とデートしている時に切符を失くしちゃうのは困る。
「ねえ、ちょっとちょっと待って」なんて言って待っててもらって、改札のわきでゴソゴソやっていると、相手の女の子の顔つきが微妙に変わっていくのがわかる。実に切ない。
何度もくりかえすけれど、これはもう宿命である。切符というのは失くさない人は失くさないし、失くす人は永遠に失くしつづけるのである。
僕は昔、どうすれば電車の切符を失くさずに済むかというのを、かなり真剣に考えたことがある。理論的にはこれはとても簡単なことである。つまり①どんな服装をしていても普遍的に存在し、②出し入れするのに手間がかからず、③そこに切符を入れたことを決して忘れない場所、をみつければいいのである。ちょっと考えてみて下さい。
(中略)
僕は長いあいだ考えに考えた末に、やっとひとつだけそれに適合する場所をみつけだした。耳である。耳しかない。我発見せり(ユリイカ)!


