ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆☆☆☆
覚えておきたい一文:
ーーどっちでもたいした違いはないのさ、と源六は笑いもせず答えた。杉田屋の養子になったからといってゆくすえ仕合わせとはきまらないし、なり損ねたからといって一生うだつがあがらないわけではなかろう。運、不運なんというものは死んでみなければ知れないものさ。
「人間は調子のいいときは、自分のことしか考えないものだ」源六は涙をながれるままにしてそう続けた。「……自分に不運がまわってきて、人にも世間にも捨てられ、その日その日の苦労をするようになると、はじめて他人のことも考え、見るもの聞くものが身にしみるようになる、だがもうどうしもない、花は散ってしまったし、水は流れていってしまったんだ、なに一つとり返しはつきあしない、ばかなもんだ、ほんとうに人間なんてばかなものだ」
……おばさんやおじさんにまで嫌われるのは辛いけど、こうなるのもめぐりあわせだと思って辛抱するわ
人間は正直にしていても善いことがあるとはきまらないもんだけれども、悪ごすく立廻ったところで、そう善いことばかりもないものさ
ひとことコメント:
とある本の中で、山本周五郎氏の『柳橋物語』が紹介されていた。なんとなく気になったので読んでみると、心にしみる話でした。引用もしていますが、この本を読んで、改めて人生はめぐりあわせだなぁと思いました。後から考えると、なんであの時あんな選択をしたんだろう、と悔いることが多々ありますが、その時、その時の自分が考えて決めたことなんだから仕方ないですね。もし縁があればまた機会があるかもしれないし。
この物語には、そんな人生のめぐりあわせがたくさん散りばめられています。
