『「マイナス」のプラス 反常識の人生論』


ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆☆
覚えておきたい一文:

 私は9歳のとき、母を失った。こどものことで、親を失うのがどういうことなのか、まったくわからなかった。人間にとって最大の不幸のひとつであるなどと知るよしもない。3年たち5年たって、じわりじわり、悲哀が襲ってくるのだが、それでもなお、不幸だとはっきり考えたことはない。だいいち不幸ということも知らなかった。
 何十年もして、これは母が死をもって与えてくれた、ありがたい経験であったと思うようになる。それまでは、親しい友人にも話すことのできなかった母の死を見直すようになった。あれだけの悲しみ、苦しみを乗り越えてきたのだというのは、大きな自信になる。逆風を怖れず、不遇にへこたれず、わりあいのびのびと生きてこられたとするならば、幼くして母に死なれたおかげである、とまで考えるのである。

 この記述はなんとなく共感します。子どもの頃に親を亡くすと、うまく悲しめないんですよね。その重み(精神的にも経済的にも)がちょっとずつ分かってくるのは17とか18くらいだった気がする。

 人間を教えるのは人間ではない。苦労、貧困、病苦などおそろしい経験によってのみ、人間は人間らしくなる。
 イギリスの詩人、トマス・カーライルは言った。
「経験は最大の教師である。ただし、月謝が滅法高い」
 蝶よ、花よと言われて育った人間は、経験というこわい先生にめぐりあわない不幸によってうちのめされる。
 幸いなるかな不幸せなるもの。

 確かに、高いよね、月謝。一時、かなり赤字でした。
ひとことコメント:数ヶ月前に『思考の整理学』を読んだとき、なんとなくこの著者の考え方には好感を感じていました。僕ももともと挫折した時はショックを最小に、うまくいった時に喜びを最大化するために過剰な期待を持たずに生きるようにしているので、まえがきの「マイナスで始まれば、プラスと続く確率が高いけれども、プラスでスタートすると、どうもそのあとがよくないことが多い。マイナス先行がよい」という一文には賛同します。

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