題名:「永遠の仔」
著者:天童荒太
ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆☆☆
覚えておきたい一文:
「そのあと、彼に勧められて、病院の
先生にも話すことができたの。
あなたは、生存者なんだって、先生から言われた」
「生存者……?」
優希は思わず問い返した。
「ひどい傷を受けながらも、死なずに、
懸命に生きのびてきた人だからって……。
わたしは、生きのびようと思ったわけでも、
懸命に頑張ったつもりもなかった。
周囲から見れば、ふしだらで、
不良で、薬や酒に手を出して、
子どもも産めないからだになった女なんだから。
とても、生存者なんて、かっこいいものじゃないと
思った。虚しく生きてきただけの人間だって」
婦人の視線が優希にまっすぐ向けられた。
暗いのに、彼女の瞳が輝いているように見えた。
「でも、命があるでしょって言われた。
そして、いまは支えてくれる人もいるでしょうって……。
生きのびたからこそ、幸せになれる可能性もある、
人生に意味を見いだせる機会も訪れる、
よく頑張ってきましたねって……
あの人と同じように言ってくれた。
診察室を出ると、彼が、待っていてくれた。
抱きしめてくれて、頭を撫でてくれた」
ひとことコメント:
知人にすすめられて読みました。
天童氏の本は、いつも途中で挫折していましたが、
最後まで読めました。
親から子へ、引き継がれていく傷の話です。
DNAに刻まれている傷は、
容易にはぬぐいされないものですが、
その傷がきっとその人をつくっているもの
なのでしょうね。
そして、傷を認め、受け止めることができる人が、
運命の人なのでしょう。
ちなみに、この本を読み終わる日に、
たまたま椎名林檎さんの
「ありあまる富」という歌を聴いたのですが、
この本の内容にぴったり、と思いました。
個人的に、主題歌にします。
