『最終目的地』


ステータス:途中
評価(最高が5つ星):☆☆☆☆
覚えておきたい一文:

「なんていうか。どうすればこんなにまずいことになるわけ? なんで日にちをまちがえるのよ? ウルグアイまで郵便で手紙が届くのにとんでもなく時間がかかるのはあたりまえじゃない! そのためのフェデラル・エクスプレスがあるんだから!」
「フェデラル・エクスプレスって、ウルグアイまで行くのかい?」
「フェデラル・エクスプレスは、金さえ払えばどこだって行くの。いい、オマー、なんとかしたいんだったら、自分でなんとかしなきゃ。なんとかしたいんでしょ?」
「うん。そう言っただろう。なんとかしたいよ」
「だったら、なんとかしなさいよ」ディアドラは言った。

「いい?」ディアドラは言った。「あたしはあなたを愛してる。あたしがあなたを愛しているのは、わかってるわよね。これはそういうことじゃないの。それどころか、あなたを愛しているから、そういうことを言うのよ」
「愛の言葉には聞こえないぜ。怒りにしか聞こえない」
「怒りに聞こえるのはあたりまえよ! 怒りなんだもの! あたし、怒ってるの、オマー。でも、だからといって愛が排除されるわけじゃない。怒りと愛は共存可能なの。あたしは同時にいくつもの感情を感じられるの。あたし、複雑な人間なの。人生は複雑なの。愛は複雑なの。単純じゃないの。一度にひとつだけってわけじゃないの」
「なんでそんなに怒ってるんだよ?」
「あなたが研究奨励金でとんでもないへまをしたからでしょ! どうやったら単純な申請書で失敗できるのよ? どうして公認をもらわなかったの? どうして嘘をついたの?」
 オマーは口をつぐんだ。泣きだしそうに見えた。けれども、彼は話しはじめた。「きみはものすごく有能な人間だ。勤勉だし、きちんとしているし、欲しいと思ったものはかならずすべて手に入れてきた。きみはそういう人だ。それが、きみなんだ。ぼくは、そうじゃない」
「でもね、オマー、あなたは、まるで有能だってことが、なにか生まれつきの才能みたいな言いかたをするけど、そうじゃないのよ。有能さは、有能になりたいと思うかどうかなの。有能になる努力をするかどうかなの。最後までがんばるかどうかなの。システィナ礼拝堂に絵を描く話をしているわけじゃないんだから。必要なときにフェデラル・エクスプレスを使うって話」

ひとことコメント:
久しぶりに、海外小説で面白い作品を発掘した(まだ途中だけど、多分、最後まで面白いはず)。文中の会話が笑える。手にとった理由は、僕がよくつぶやいている言葉が、本の背表紙に書かれていたから。
「不幸は長くつづかない。幸福が長くつづかないようにーー。」
ちなみに、僕は「自分が思っているほど、幸福でも不幸でもない」というのも座右の銘です(そんなの座右にするのもどうかと思いますが)。

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