ニューヨーク旅行中、桐野夏生さんの『玉蘭』を読んだ。
「ここではないどこかへ…。東京の日常に疲れ果てた 有子は、
編者者の仕事も恋人も捨てて上海留学を選ぶ。だが…」 という、
本の背表紙を読み、 旅行中に読めば、
何か感じるところがあるかなぁと思い、 持って行った。
「僕にとってはどこだって、初めて来た場所は世界の果てであることは 間違いなかった。新しい場所に来たから、新しい世界が始まるなんて幻想だ。新しい場所に足を踏み入れるってことは、良く知っている世界の、実は最果ての地にいるっていうことなんだ。違うかな」
本に記されたこの台詞は、
けっこう真実をついているかなぁと思った。
やっぱり、新しい世界に飛び込んでも、
自分の引きずっている影は、 ずっとついて回る。
そして、新しい、躍動する世界は同時に大きな暗闇を抱えている。
この本のあとがきに、
「有子の造型は、少し前、日本の企業で働く高学歴の女性たちが、
女性であることの限界を感じて、
ニューヨークや香港に行って 資格を取ったり、
現地の企業に入ったりする風潮を参考にした。
海外でも夢破れ、日本に舞い戻る傾向が強まったのが、
ちょうど『玉蘭』を書いた頃だった」とある。
旅していて、たしかに、ニューヨークの人は
負けん気がすごく強いので、 毎日闘うとなると、
キツイだろうなぁとは思った。
