著者:長谷川幸洋
ステータス:読了
評価(最高が5つ星):☆☆☆☆
覚えておきたい一文:
速報と分析の使い分けは外国の新聞では当たり前である。外国の新聞はだれが書いても同じような速報は通信社に任せ、自社の記者は分析記事に集中する。貴重な記者を速報業務に使うのは非効率である。役所の特ダネ競争をやめるというのは、速報業務は捨てるということでもある。もしも自社の記者を速報業務から解き放って、深く分析した特ダネを書けるような態勢になれば新聞の価値は高まるが、自社記者にも速報を追わせて、結果として通信社と同じような速報しか出せないなら、新聞は通信社と変わらなくなる。
「深い事実」を掘り出して「深い記事」を書くには、なにより取材源を多様化しなければならない。霞が関ひとつとっても、財務省なら財務省、経産省なら経産省だけに絞って取材しているから、本当の姿が見えなくなるのだ。
ひとことコメント:
新聞を買わない人が増えた理由のひとつは、インターネットが使われるようになって、「記事がタダで読めるから、買わなくていいじゃん」と考えるためでしょう。かつて無かった携帯代金とかプロバイダー料とかが生まれたので、その分、新聞代を節約しようとするのは合理的な判断だと思います。
あと、もうひとつ「買わない理由」としては、「新聞を読んでも(あんまり)ためにならない」からではないでしょうか。引用した部分で指摘しているように、日本の新聞は速報ばかりに力が入っていて、その後の分析が欠けている。
「じゃあ、どうすればいいのか」
「どうとらえればいいのか」
という情報がないので、新聞を読むだけでは単なる物知りさんになるだけである。単なる物知りさんは、自分の頭で考えないので、知らない人より有害な行動を起こすことがあるのでやっかいです。ドラマ『坂の上の雲』で、秋山好古さんが弟に、「自分の考えがないうちから、新聞など読むな!」といさめているシーンがありましたが(記憶で書いているので、正確な言い回しではありません)、今思うと、弟を単なる物知りさんにさせないための思いやりでしょうね。
脱線しましたが、この本では、そうしたメディアのあり方と、国を動かす官僚の力の源泉について紹介されています。この本を読めば、新聞を読む時、「この情報を発信することで得をするのはどんな官僚か?」と考えるようになるでしょう。
